- 2009-12-04 (金)
- 大迫
昨夜はナカノシマ大学の第3回目となる12月講座「上方古典芸能を知る~講談vs浪曲~」の開催日であった。ぐずついたお天気、しかも冷え冷えとした夜ながら、集まってくださった約100人の受講生の方々にまずは最敬礼です!
会場となったのは140Bのある古河大阪ビルの「お隣」である中央電気倶楽部。その3階大食堂に特設ステージを設けたのであった。さすがは大正3年創立の歴史はダテではない。特に紳士たちがくつろぐ食堂とあって、造り付けも豪華である。本当にこの時代の建物は細部まで職人さんの「仕事」が感じられて素晴らしい。もちろんそれを維持するための、長年に亘る手入れの賜でもある。建物にはいるとどことなく安心感があるのは、こうした建物への愛着が伝わってくるからだろうか。
1人早めに入ったオオサコは、そんな感慨に耽っていたのであるが、午後5時、春野恵子さんと曲師(三味線)の一風亭初月さん、そして旭堂南海さんが到着し、リハーサルが始まると一気に空気が変わる。ゆったりとした天井の高い空間はよく声が通り「ライブ」にはぴったり。発声練習が進むうち、徐々に会場の雰囲気もはりつめていくのであった。
午後6時を回ると、少しずつお客さんが集まり出す。今回もまた受付や案内などは島民編集部や140Bスタッフでの「手弁当」。島民編集部の松本創と若狭さんの「ナカノシマ大学芋」売り部隊は、受付のすぐ隣で「ご一緒にポテトはいかがですか? スマイル0円で~す」などといきなりノリノリでやってくださっている(しかし、花のない受付でした・苦笑)。
今回は初めてワンドリンク付きということで、会場のすぐ横にドリンクコーナーも設けられ、早く着いたお客さんはそこで束の間の「ジェントルマンごっこ」を楽しんでくださっていた。お願いしていたわけではないのに、クロークやコートハンガーもセットされていて、このへんの粋な計らいも電気倶楽部さんならではでもある。
午後7時、さあ開演である。司会はおなじみ大阪21世紀協会の山納さん。台本や式次第はもちろん事前にお送りしていたが、細かい段取りや注意事項などを現場でパパパパっと打ち合わせてスタート。コモンカフェでのワークショップ運営など、さすが場数を踏んでおられる方は違うなあ。
まずはお二人によるトークから。受講生の中で講談・浪曲を聴いたことのある方の割合は半分強といったところ。まあまあ予想通りで、講談・浪曲それぞれの成り立ちや芸としての違いをお話ししてもらう。幕が上がればそこはお二人ともプロ。どんどんどんどん話を転がしてくださり、会場内は爆笑、「なるほど」、また爆笑。「講談というのはあくまで史実に基づいてるというんですが、ウソも多いんですよ。なんせ史(4)が実ですから」などと言って笑いをとってくださる。
今回の趣向は同じネタをやってもらい、それが講談と浪曲でどう違って表現されるかを楽しんでもらおうというもの。演目は井原西鶴『好色五人女』が元となった「樽屋おせん」。本来ならばキャリアの浅い春野恵子さんからやってもらうのだが、まず旭堂南海さんの講談から聞いてもらうことにしたのも、その方が分かりやすいと思ったためだ。歴史の点綴を喋りで聞かせる講談は、事件の内容や人物関係などがよく分かる。そうすることで、浪曲がどの部分を抽出するか=浪曲という芸能が何を目指しているかがより理解しやすくなるのである。
なんと今回のために講談にはない「樽屋おせん」を作ってくださった南海さん。しかも初めての方のために、節回しの例を赤穂義士の一節でやってくださった。これには会場内から期せずして拍手が。それにしてもまさかネタおろしとは思えない見事な南海流「樽屋おせん」であった。時に笑いを交え、聞かせどころはぐっと引き込み、緩急自在に聞く者を操る話芸。そして何といっても「声」がいい。体にバイブレーションをもたらすように、ぐぐぐっとくるんだな。一番前の席の人なんて、圧倒されていたのではなかろうか。
舞台転換の後、第2部が春野恵子さんの浪曲である。舞台へ上がるや「待ってました、恵子ちゃん!」の声がかかり、がぜんムードも盛り上がる。しかし、春野さん、開口一番「やりにくっ」と絶叫。旭堂南海さんの見事な舞台の後(当然、南海さん流のアレンジも加わっている)、そのイメージがしっかりと焼き付いた中で演じるのはなかなか難しい…ということだったのだろう。いやいや、でもこちらとしてはそれこそが狙い。そして、その狙いはばっちりハマったのである。
僕自身、「おおお、そこから始まるのか」とびっくり。登場人物の描写の違いにもまたびっくり。おせんの心情をうたう場面にきゅーっと切なくなったかと思えば、ラストは「マジで!?」な展開。春野さんは始まる前、「講談vs浪曲」というより「男vs女」です、とおっしゃっていたが、まさに…であった。こればっかりはいくら書いても言葉が足りないので、ブログ読者のみなさんには次回はぜひ来てくださいねとお伝えする他はないのである。
素晴らしい話芸をご披露下さった旭堂南海さん、春野恵子さん、曲師の一風亭初月さん。寒い中お越し下さった皆々様。中央電気倶楽部の職員の方々、ありがとうございました。そして今回もお手伝いに快くご協力してくれたスタッフのみなさんにも感謝、感謝です。
そして、次回来年1月13日と決まっております!大阪城の目の前で、お待ちしておりますよ。
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