その1 地元の人でも喜ぶ店こそ京都らしい店だと思う。

地元の人でも喜ぶ店こそ京都らしい店だと思う。

京都にはたくさんお客さんが来る。これはとてもありがたいことなのだけれど、案内したり一緒に食事をすることになるとチョットヘビーだ。

親しい人や仲間なら普段俺が飲み食いしているようなところへ誘うのでまったく苦にならないが、知人が他の人を連れてきていて「京都らしいところ」という条件がリクエストに入るととてもつらいので、店だけ教えて俺は出来るだけ一緒に行かないようにしている。

例えその店がいい店であってもおいしい店であっても「京都らしいところ」を求める人と食事をするのは疲れるし、「京都らしい」と喜ばれた時にどんな表情をしたらいいのかと俺はいつも悩んでいる。というか「京都らしいところに連れて行ってあげて」という状況が始まった段階で、ゲストと俺の負けが確定している。勝った気になっているのは仲介した人間だけだ。

俺がニューヨークに行って「ニューヨークらしいとこ連れてってくれよ」などとは絶対に言わないし、勝手にニューヨークらしいところに連れて行こうとする人間を好きになれないと思う。気遣いがないからだ。「京都に来た人だから京都を味わいたいはずだし、京都を与えてあげれば喜ぶだろうという」根性は最も京都らしくない。

ゲストの性質や好き嫌いなどを身なりや表情や会話や仕草などから、「この季節の今日の今夜のこのメンバーでゴキゲンになるには何か」ということを常日頃から必死で考えているのが京都だと思いたいし、それを知る術や実践するカードを揃えることに力を注いできたのが京都だと思う。

2007年11月17日 16:10

このエントリーのトラックバックURL

http://www.140b.jp/cgi-bin/mt/mt-tb.cgi/140

Listed below are links to weblogs that reference

その1 地元の人でも喜ぶ店こそ京都らしい店だと思う。 from 140B劇場-京都 店特撰