その3 京都を堪能したいならここで焼肉を食うべし。「焼肉 江畑」

千本日活のネオンが見えると腹が急に減る。

ダチョウ倶楽部の寺門ジモンが京都に来ていた時、うまいと評価される全国の焼肉屋を行き倒しているという話をしていたので京都ではどこの焼肉屋に行ったか聞いてみた。

これが意外にも「江畑」には行ってなかったようなので街のものとしての責任感が湧き、すぐにタクシーを止めて運転手さんに「千本日活へ」と行き先を告げた。けれどもタクシーの中で俺は、うまい焼肉を求めてその評価表までつけているという寺門ジモンと江畑へ行くのは間違いかなとも思った。

それは俺が江畑に行きたくなる理由は肉がうまいということではないからだ。タレがうまいということでもない。ギャラネギ焼きや特ロースなどの名物の何かに惹かれるのでもない。そう考えてみると俺はうまい食い物や飲み物をただ求めて店に行っているのではないことがよくわかった。

俺の場合、スペシャルな肉をうまく食わしてもらえるからその焼肉屋に行くというものではなく、当たり前の話ではあるがそこに行きたくなるのは江畑という店に惹かれるから以外のなにものでもない。

俺はスナック江畑だといつも思っている。

では江畑に何故惹かれるのか。その理由はひとつではなくツイードのように小さいものが無数に集まって魅力というものが構成されているのだとは思うけれどもそれをあえて一発で表現すると、何度行っても何年通ってもイバらせてもらえないということだと思う。

ほぼ一日おきでこの店に行っている人でも江畑ではいわゆる常連面できないし、また気張っても仕方がない。それはこの店に初めて行った人でもオーダーメードの仕立てのような空気で扱ってもらえるので気がつけば自分がさも常連であったようにすっかり馴染んでしまう。お客全員が常連になってしまう店の中では気張りたい人も気張らないので店の空気がますます心地よくなるというわけだ。

そんな店だから必然的に酒もうまい。そして酒がうまくなると場が楽しくなる。場が楽しくなると何を食ってもうまいしだんだんごきげんになってくる。ほぼかならずそんな流れになるので誰と行っても店をあとにするときにごきげんで腹一杯になっているのを感じるし、そのあとどこに流れようがいい夜を過ごせた実感が必ず残っている。梅宮辰夫よりはるかに可愛く男臭いご主人やきれいなおかみさん、男前な店のスタッフとタフそうなお客さんの笑顔と出てくる肉や料理の加減のよさは、いくら高くて上等な肉を使っている焼肉屋よりも店としての値打ちがある。寺門ジモンも10年通ってる客のようにすっかり顔を崩していた。

焼肉・江畑

情緒のある千本の街のど真ん中。長い一本のカウンターにカンテキが並ぶ。臆することなくまわりの人がうまそうに食っているモノを見て注文をしたり焼いてもらいながら適当にしていると心地よさがぬくもりと満腹に変わってくるはず。特ロース1500円、ギャラネギ焼き1000円、タン生700円二人で行ってよく飲んで1万円ぐらい。牛がどうのこうのとうんちくをたれる御仁でもここの肉は納得されるだろう。

京都市上京区下長者町通六軒町東入る北側
営業時間:5:00pm→10:00pm
定休日:水曜・毎週最終木曜休

2007年11月17日 18:11

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