越境編その2 京都には、バー ウイスキーがない。 「バー ウイスキー」

物欲しげな奴とは行けぬ、
ゆれる空気がわかる店。

ミナミに行く用事があるとそのスケジュールが夕方の5時近くに終わるように必ず段取りをする。道頓堀の「バー ウイスキー」に行きたいからだ。俺はこのバーが好きだ。だからこのバーには男女を問わず大好きな奴としか行ったことがない。だからたくさんの奴と行ったがそのすべての顔をハッキリと覚えている。その時にどんなことを話して何を飲んだかもほぼ憶えている。

バーで何かは生まれない。生まれると思うのは錯覚に過ぎない。バーは何かを失いにいくところだ。知ってか知らずかそれを潜在的にわかっている奴と飲む酒はうまい。それが「バー ウイスキー」であれば至福である。マスターの小野寺さんもそれを知っているからだ。だからマスター小野寺さんのシャツのカフスが長い。ピールを宙でふる。バーは空気と言いたげだ。

大人という単語をむやみに使っている雑誌が気色悪いのは、物欲しげだからだ。いいバーに行きたい相手は「もういらん」と言いたげな奴だ。雨が降ってるからバーに行こう。寒いからバーに行こう。気分がいいからバーに行こう。したいことなどないからバーに行こう。マスター、今宵また我々をよろしくお願いします。我々は何も言いません。

バー・ウイスキー
ウォッカマティーニは体の中を流れてゆくのが感じられる頃に飲むと格別。無理して飲んじゃいけないと小林幸子の歌だったか。私はマスター小野寺の信者である。俺もマスターになりたい。

大阪市中央区道頓堀2-4-1 シモウラビル地下1階 
電話番号:06-6211-9625
営業時間:5:00PM→0:00AM
定休日:日曜休

2009年04月13日 10:34

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