「これから淋しい秋です」いわしのグリルならぬさんまのグリル � 投稿者:中島

編集責任者:江弘毅を始めとした京都・神戸・大阪の編集集団

先週は『アラン・デュカスのひと皿フレンチ』ウィークで毎日何らかの「アラン・デュカスネタ」を食っていた(家で食わない日が1日あったが、その日はブノワに行っていた)。しかしどういう訳かお米ばっかりなので魚も...と思っていたが、生来のめんどくさがりがそこまでは向かわせない。

恥ずかしい話だが、包丁を握って魚料理を作ったことがない。明石の江井ヶ島に独り暮らししていた頃、市場で買った魚を煮付けにしてよく食べたが、あれは魚屋のおいちゃんがしっかり下処理してくれて、私の仕事は鍋に入れるだけ。鰆の西京焼きも、塩鯖も、グリルに入れるだけである。

そこでヨメはんをそそのかし、「こんな暑い日はコメばっかりは飽きるわな。やっぱり魚やん?」と言い含めると何となく向こうもそんな気分だったようで、「いわしのグリル ラタトゥイユ バジル風味」にトライしてもらう。

が、お盆まっただなかで日曜日の生協に、新鮮ないわしは売ってない。代打としてさんまを買う。そこから先、台所では何が起こったのか阪神ーヤクルト戦に夢中だったので分からないが、まるごと一匹焼きするさんまを上手いこと下ろして(彼女は私と違い、料理教室で魚の捌き方を習得済み)下ごしらえをし、30分後にはご覧の通りの料理になっていた(いつもド下手な写真ですまない)。

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いわしと違って下のラタトゥイユが見えないほどむちゃデカいが、ひと口入れたら「おぉ!」である。さんまの脂とラタトゥイユの爽やかさのコンビネーションが素晴らしい。前者が外角低め149㎞のストレートだとしたら、後者は顔のあたりから内角膝元にドロンと落ちてくる90㎞台のカーブ。これが交互にやって来るんだから、バッターは手も足も出ず、ただただ「あー」と唸りながら目の前のシャルドネをガブガブガブガブ...。

ヨメはん曰く「いろんな本とか料理番組でラタトゥイユの作り方紹介していたけど、こんなに上手く出来たのは初めて。炒めたり加熱したりワインヴィネガーを入たりする手順がしっかりしているからだと思う」。包丁を持つ機会が私の100倍は確実にある人間が言うと、世界でミシュランの星を20個持っているのもむべなるかな、と思う。

次はいわしで挑戦してみたいが、これからの季節、さんまを塩焼きでなくこんな感じで食べても旨いと分かり、少なくとも食い物には、因幡晃の歌うように「これから淋しい秋でぇ〜す♪」とはならない。

いつの間にか料理もワインも平らげ、ソファーで寝ていた。いくらデュカスの料理がナチュラルでヘルシーだからといって、こんなコトしてたら体重増加が止まらんわな。うまい食い物は諸刃の剣である。朝晩はもうちょい散歩するか。

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