2010年7月31日 14:11 中島


初めてフランスの『LECON』(写真下)を見た時に、デジャ・ヴ感があるなぁと思っていたら...

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それは子どもの頃に見たあの雑誌だったと、先日買った大橋鎭子さんの『「暮しの手帖」とわたし』を見ていて思い出した(写真は著書より/昭和25年・初の写真入り料理記事「誰にでも必ず出来るホットケーキ」)。

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大橋さんの著書には、昔の『暮しの手帖』の思い出が綴られているだけでなく当時の誌面がそのまんま掲載されていて、ああそうだ、こんな風にして人は料理を覚えていったのだと記憶を呼び覚まされたが、このフランス版『LECON』もまさにそうで、「人が知らない料理を覚えていくことの愉しさ」を呼び起こす本だと直感した。

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日本版『アラン・デュカスのひと皿フレンチ』もそれはきっちり踏襲されている。見て戴いたら一目瞭然のことだが、例えばソースをつくるのにすり鉢に材料を入れてすりこぎで潰していく作業はフードプロセッサーを使えば簡単に省略できるし、フライ用のパン粉だって買えばしまいで、いちいちパンをトーストにしない程度まで焼いてパン粉を作るなんてしなくてもいいのかもしれない。

それは台所に立つ人が自分なりにアレンジすればいい話だが、この本は、手間暇をかけて料理のプロセスを一つひとつたどっていく人に「祝福」を贈っている匂いがする。

60年前に編集の大先輩・花森安治がつくった「祝福」の匂いを、あなたが感じ取ってくれたなら、この『アラン・デュカスのひと皿フレンチ』の行く末もハッピーなことになるのではないかと思う。


昨日のブログに書いた『アラン・デュカスのひと皿フレンチ』のフランス版というのは、こんな感じ。レシピ集というよりも、ホンマに雑貨っぽくてかわいらしいパッケージだと140Bの面々がクラッときた。

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左からtians(重ね焼き)、agneau(子羊)、macarons(マカロ ン)と、さすが本家!という感じだが、こんなテーマでは日本では売れへんやろなぁ...という思いで、第1弾は「お米」(米、じゃなくてお米。全メニューコシヒカリで作りました)、そして「魚」になった。ただ、このパッケージはキッチンでボロボロになるまで使ってもらえるような作りをしているので(カバーや帯は料理するのに邪魔ですわな)、そのまんま踏襲している。

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その結果生まれたのがこれ。写真部分に水分をはじくようにUVコート。帯のように見える下部に"LECON"、その下に「ルッソン日本版」のタイトルをみやあきさんが上手いことあしらってくれた。

両方を手にとって見比べてもらえないのが残念だが、清水奈緒さんの撮った写真のクオリティは、「本家」フランスの皆さんもびっくりしたみたいで、ルノーさんからそれを聞いてちょっと痛快だった。

発売日の今日は東京晴海や群馬の高崎の書店さんから追加注文をいただき、関西の某新聞社(まだナイショ)からはいきなり取材のオファー2件があって、「こいつぁ春から(いや真夏から)縁起が...」のスタートになったが、早くあなたのキッチンで使ってもらうことが一番。なかなか可愛いヤツでっせ。

とにかく今週末の締め切りハードルを乗り越えて、来週はPOP持参で久しぶりに書店を回りたい。このPOPがなかなか美味しそうなんですわ、これまた。
ついに本日29日(木)から全国の書店店頭で『アラン・デュカスのひと皿フレンチ』 が発売となるが、昨年の1月に江弘毅が

「オモロいやろこの本、写真もバツグンやで。ルノーさんが、これ日本で出すんやったらウチからどないや言うてくれてんねん」

 とフランス語で書かれたちょっと雑貨っぽいパッケージの料理レシピ本を持って来た日からもう1年半がたつ。

書名は『LECON(ルッソン=レッスン)』といい、10種類の料理に各4~8ページが割かれ、何か昔の『暮しの手帖』みたいな感じで、20カット以上の写真を使って行程を丁寧に紹介している。写真はリアルでナチュラル、もちろん旨そうであった。

そのLECONは「子羊編」「フォアグラ編」「サーモン編」「重ね焼き編」など素材や調理法別に編集したシリーズだったが、これだと日本では売れないので、もうちょっとなじみのある食材なら面白いんじゃないかと訊いてみた。するとグループ・アラン・デュカス日本代表ファブリス・ルノー(タフで明るくちょっとイケズな元サッカー少年です)さんは

 「それは大丈夫ですヨ。日本で出すなら日本人に合った本の作り方をしないと売れませんからネ」

と事もなげに言ってくれ、話は動き出す。著者はパリを始めモナコ、NY、香港、東京などでレストランを展開し、世界最多のミシュランの星20個を持つアラン・デュカスである。

実は08年秋に大阪でデュカスのレストラン(西梅田のル・コントワール・ド・ブノワ)を立ち上げた際に、江がデュカス本人やグループの面々に「大阪の食文化にはスゴい歴史がある」「地場の魚も野菜も肉もバラエティ感があり旨いで」「でも高い店は絶対アカン」「常連客は口うるさいけど浮気せんと長いことひいきにする」と(もちろん通訳付きだが)様々なアドバイスをしていたのがご縁の始まりだった。

「食の本質は地元にある」という哲学を実践している彼には、その助言が大阪で店を成功させるきっかけになり、それで書籍を数点しか出したことのない大阪の零細出版社にお鉢が回ってきた。有り難いことだがそれだけでバカスカ売れて「やったぁ!」と喜べる訳ではない。やはり中身が大事なので、

 「日本のスーパーや商店街でも買える、日常の食材を使ったレシピを頼んます」とお願いする。

「お米編」はコシヒカリで作るレシピ、「魚編」はイワシやサバを使った料理...とアラン・デュカスの料理だけど、いつも買う物で作れる本を目指した。編集は『あんこの本』(京阪神エルマガジン社)の著者で仏語も堪能な姜尚美さん、写真は料理も人物も強い清水奈緒さん。デザインはこの二人と組んでヒットを連発しているみやあきみささんに託す。最強メンバーである。

アラン・デュカスの「OK」が出たレシピが来たのがこの2月。レシピを書いて実際に料理するのはデュカスから全幅の信頼を置かれるダヴィッド・ブラン氏([ブノワ東京]シェフ)である。撮影は3月10日から、東京渋谷のミーレ・ジャパン(ドイツの家電メーカーです)ショールームのキッチンで始まった。

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左で一心不乱にメモを取っているのが編集の姜さん、ダヴィッドさんの向こうでカメラを構えているのが清水奈緒さんである。まだ氷雨の頃。あれから5ヵ月近く経過したが、実は3年以上経っているような気がするほど発売までは長かったように思える。

特に編集の姜さんにとっては、レシピを見て、撮影に映える皿や鍋を調達する→現場でフランス語で取材→取材して肉付けしたレシピを日本語に落とし込む→本のページ構成を考える→その枠に入る写真を選び、それに応じた分量の原稿を書く→シェフ再度会い、フランス語で内容を確認する→それをもとに校正...etc.気の遠くなるような長い道のりだったと思う。ホンマにお疲れさまでした。

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なので、この1,260円は安いと思いまっせ。この際2冊いっぺんにどうぞ。

「ヒライくん、俺は歩いて会社戻るわ(筆者は地下鉄を一駅ずつ乗り換えるのが死ぬほど嫌い)」と堺筋本町で平井と別れ、西→北→西→北とジグザグに夕暮れのオフィス街を歩いていたら、何となーんと、[淀屋橋odona]前でマルシェのブースが出ているではないか!?

これは大阪マルシェ「ほんまもん」の水曜夕市。昨年は水曜夕方に中之島公園でやっていたのを、今春から舞台を御堂筋沿いのこちらへ移して開かれている。

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思わず和歌山&泉州のプチトマトと名物の小金屋の逸品納豆を買い、前者は夜の事務所で原稿書きのおつまみに(ウマかったわ?)、後者は明日朝の白飯のお伴にとなったのである。

トマトと納豆効果ですっかりゴキゲンになり、目と鼻の先の土佐堀川ではLEDによる「天の川」プロジェクトをやっているのも知らんと堂島浜の会社へ戻る。食いもんしか興味ないんか!?

 2010年7月 7日 01:18 中島


えらいご無沙汰してすみません。
WEBの引っ越し作業がなかなか進まない体たらくで、その間にも季節は巡ってもう今日は七夕です。

まだ新しいブログにリズムがつかめませんが、うれしいニュースが一つ。

小林明子&ハンジリョオの力作コミックエッセイ『せやし だし巻 京そだち』の追加注文が、6月末の時点で2,000部を突破しました!

これもひとえに応援していただいた皆さまのおかげ。
今日も東京ドームのそば、[丸善メトロエム後楽園店]さんより追加注文をいただきました。

それと京都のFさんという読者の方が、お便りを寄せてくれました。
何と彼女も、京の呉服屋さん出身ということで、アンケートハガキではなく手書きの便箋3枚に、
この本と出合ったうれしさを楽しそうに綴ってくれました。

すぐ小林さんにパス。彼女もすごく喜んでいました。
やはりええ作品は、ジワジワっと効いてきますなぁ。

引き続き、アッコちゃんをよろしゅうおたの申します。

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